【語彙力を増やす】国語ができない原因は論理力以前の問題かも

「国語ができません」という子は多いです。

もし「できない」が公立高校入試レベルの問題であれば論理を鍛えたところで「できない」ままだと思います。

国語ができない原因は論理力以前のことに問題があるからです。

語彙力が不足している

大手塾に私がいたときは英語だけしか教えていなかったので気づくことはなかったのですが、自分で塾を運営するようになって大きな問題に気づきました。

思っている以上に子どもたちが言葉を知らないことです。

ここ最近では、偏差値60以上ある子が「画一的」を「がいつてき」「がいちてき」と読んだことに驚きました。

当然、漢字を読めないだけでなく「画一的」が「同じ、型・枠にはめる」というような捉え方をすることも知りません。

百歩譲って「画一的」という言葉は知らないことを許したとします。

しかし、子どもたちが言葉を知らないというのはこんなレベルではありません。

「香辛料」「脱色」といった具体的な言葉

「補う」「従事する」といった抽象的な言葉

大人からすれば「そんなことも知らないの?」ということを知らないのです。

「国語ができない」と悩んでいる人が始めに考えるべきことは「語彙力不足」かどうかです。

よく耳にする「論理力を鍛えれば読解問題は解ける」は間違っていませんが、それ以前のところに問題があれば論理力を鍛えても国語ができるようにはなりません。

具体的な言葉を知らないとどうなる

上で上げた「香辛料」「脱色」を例にします。

「香辛料」は地理・歴史の教科書に書いてある言葉ですが、その言葉が分からずに「分からない」と立ち止まってしまう子もいるのです。

立ち止まって考える子はまだいいかもしれません。

意味も分からずただなんとなく読み進めているだけという子がどれだけ潜んでいるかを考えると怖いです(分からない言葉を飛ばすことも時には大切ですが)。

「脱色」は理科の生物でよく使われる言葉です。

たとえば「オオカナダモの葉を脱色した後にヨウ素液で…」というような問題がでてきたとします。

その時に「脱色」という言葉を知らなければ「脱色って何?」「何が質問されているのか分からない」となるのです。

もちろん、「脱色」という言葉を知らない子の多くはそれを無視して答えを出します。

知らなくても「学校でそう習ったから」という理由で正解を導びけるので、学校の先生も親も「脱色」という言葉すら知らないことに気づけません。

私も「脱色ってどういう意味ですか」と初めて質問されたときは驚きました。

大人からすれば「1+1=2」というように、誰もが当然に知っていることなので、それを知らない子がいるなど想像すらしていないのですから。

もちろん子どもたちが知らないのは「香辛料」「脱色」だけではありません。

それまでの経験により個人差はありますが、言葉を知らない子は本当に言葉を知りません。

具体的な言葉を知らなければ何が書かれているのか推測して読むしかないので、語彙力が足りなければ足りないほど文章が読めなくなります。

抽象的な言葉を知らないとどうなる

言葉を知らなければ国語の読解問題を解くことが難しくなるのはもちろん、数学・社会・理科・英語にもマイナスに影響します。

文章を読めないから問題の意味を捕らえられないからです。

「補って答えなさい」という問題が出されれば「補う」という意味が分からなければ「何、補うって」と、問題とは関係のないところで悩み、イチかバチかで「こうかもしれない」と回答することになります。

「従事する」が「仕事に携わる」という意味であることを漠然とでも捉えられなければ推測読みをするしかありません(携わるの意味も分からないこともある)。

抽象的な言葉は、具体的な言葉よりも推測をしにくいので、具体的な言葉を知らない以上に文章を読むのが難しくなります。

語彙力を増やす方法

本を読む習慣をつけることが一番の方法だと思います。

本を読めば自然に言葉の使い方を覚えます。

誰に教わることもなく、多くの文章を読むことで「従事する」という言葉がなんとなく「仕事をする」「働く」という意味であることを身につけられるようになります。

ですので、子供に文章を読むことができるようにしたいと思うのであれば、小学生のうちに読書の習慣が身につくように親は子どもに上手に働きかけてください。

本が嫌いな子もいる

どれだけ本を読む習慣を身につけてもらおうとしても、嫌う子がいます。

子供に本を読む習慣をつけられないのであれば、親子の会話を増やすしかありません。

会話を通じていろいろな言葉を自然に身につけることも可能です。

ただし、親が使う語彙の量は子どもの語彙の量にそのまま影響します。

親が言葉を知らなければ子供が言葉を覚えられないのは当然です。

中学生になってから

中学生になってから親子の会話で語彙力を増やすことは難しいと思います。

本を読む習慣が就けばいいのですが、「国語が苦手」と言っている中学生が本を読むようになることはおそらくないでしょう。

そういう場合は、受験勉強を必死に取り組むようになったときに、語彙力の増やし方を親が子供に教えてあげてください。

方法は次の2つです。

  1. 文章を読んで意味が全く分からない言葉が出てきたら辞書を引く
  2. 語彙力を増やす参考書を利用する

①は絶対にするべきです。

当たり前のことなのですが、実践している子はほとんどいません。

②は難関私立を受験するのに全く語彙力がないという場合にお勧めしますが、偏差値60未満の公立高校が目標なら無理に使う必要はないと思います。