授業の予習・復習、定期テスト対策のために教科書ガイドを買ったほうがいいか悩む人がいます。
平成28年度に中学生の教科書改訂にあわせて教科書ガイドも改訂され、以前とは比べ物にならないくらい(私の感覚では)分かりやすく・見やすくなりました。
そんな「教科書ガイド」ですが、購入する必要性はあるのでしょうか?
結論から言うと英語以外はほぼ必要ありません(英語も必要とする人はそこまで多くないと思いますが)。
どのようにあれを利用すればいいのか塾講師である私にも分からないのですから、中学生が一人で勉強をするための参考書としては利用できないと思います。
もくじ
英語
英語は予習・復習・定期テスト対策・入試対策、使おうと思えば何にでも使えます。
どの目的で使うのかによって使い方は異なるので、使い方は自分で決めてください。
アドバイスをほんの少しするとすれば、「予習をするなら『単語の暗記』だけで十分」ということです。
また、本文の和訳が宿題になっている場合は丸写しができるので効果的です(公立中学で本文和訳を宿題にする先生はあまり信用できない)。
英語に慣れていない中学生が文法の解説を読んで自分で理解をするには時価感が必要ですし、間違って覚えてしまう可能性もあります。
だから「文法」「英文和訳」は学校で習ってから覚えるべきです(学校の授業で覚えれば教科書ガイドは不要になりますが…)。
リスニングCDもありますが、アルファベットの暗記が苦手な子が耳からだと覚えられる(綴れないが、単語を見て意味が分かるようになったり、リスニングならできるようになるなど)こともあるので、必要であれば使ってください。
ただし、値段が高いです。
私は教科書が改訂されるたびにイライラしています。
数学
教科書よりは詳しい解説があります。
しかし、全体的に分かりにくいです。
少なくとも数学が苦手な子が独学で勉強をするためには不適切な教材です。
『教科書ガイド』が独学には向かない教材ということを知らずに使ってしまうと「全く分からない」と自分の能力がないから勉強ができないと思いこんでしまう可能性すらあります。
『教科書ガイド』を使うことで勉強に苦手意識を持ってしまえば本末転倒です。
「学校の授業が全く分からない」という理由で『教科書ガイド』を使うのはさらに危険です。
学校の授業は平均、もしくは平均よりも少し低い子でも分かるように教える場合が多いです(それ必要?という難しいことを教える先生も中にはいます)。
そのような子に向けて授業は行われているのだから、学校の授業が分からないということは、先生の教え方が極端に下手だとしても、数学が苦手である可能性が高いです。
苦手であれば一人で勉強することがそもそも難しいです(ほとんどの子ができない)。
ただでさえ独学が難しいのに独学に向かない『教科書ガイド』を使えばさらに混乱するだけです。
あえて利用を勧められる場合を挙げるとすれば「教科書の問題の答えをすぐに知りたい」と思っている人くらいです。
数学が苦手でなければわざわざ教科書ガイドを使う必要はありませんし、苦手なら使いこなせません。
「教科書をガイドする」という性質上仕方がないのかもしれませんが、どのレベルの子に向けて書かれてある参考書なのかまったくわからないです。
国語
「国語は漢字以外何をすればいいのか分からない」という子が多く、テストに何が出るのか一番掴みにくい科目だと思います。
そういう悩みを持った子であれば『教科書ガイド』は使えるかもしれません。
しかし、真面目に勉強をしている子であれば普段の授業から何が重要なのかはある程度把握できているはずなので、「何をすればいいか分からない」という悩みは持たないはずです。
持つとすれば、「問題をたくさん解かないと不安」といったものなので、『教科書ガイド』ではなく教科書準拠の参考書を使うべきです。
一方、普段真面目に勉強をしていない子であれば『教科書ガイド』をパラパラとめくるだけでそれを使って何をすればいいのかを考えることはできないはずです。
ですので、『教科書ガイド』が役立つ子は少ないはずです。
あえて挙げるとすれば、教科書よりも文法の解説が詳しいので、「文法が分からない」という人にはそれなりに利用価値はあると思います。
社会・理科
社会は教科書を使ったほうが分かりやすいです。
理科は用語暗記をすることだけを考えれば教科書より若干ましです。
しかし、どちらの科目とも手にすれば分かると思いますが「こんなの必要?意味なくない?」と思うはずです。
買う価値はゼロに近いと思います。
最後に
以前より「分かりやすく・見やすくなった」といっても、以前レイアウトが最悪ですし、学校の予習・復習のために使うには適さないほど分かりにくいです。
もし「教科書ガイドを使って予習・復習しなさい」というような学校や塾の先生がいるとすれば超驚きです(英語を除く)。
「英語」や「教科書の問題の答えを手っ取り早く知りたい(特に数学)」という場合を除けば買う必要はありません。
定期テスト対策のために勉強をするなら『教科書ワーク』『教科書トレーニング』のいずれかを利用するほうがましです。