学習障害に関連する検索のされ方を見ると大きく分けると4つのタイプがあります。
- 学習障害ということが分かったうえで「勉強ができるようになるか」
- 学習障害であることで「将来の進路を不安視する」
- 「学習障害かどうか見分けたいをしたい」
- 学習障害の可能性を考えておらず「どうすれば点数が伸びるか」
また、「チェックリスト」という検索が見られることから、一定数がネット上のチェックリストでその可能性があるかないかを確認したがっていることも分かります。
しかし、ネット上の発達障害「チェックリスト」で学習障害かどうかを判断することはできないと思います。
単にテストの結果の良し悪しを見るだけでなく、普段から子供の勉強姿を見るべきです。
そして、客観的に見て明らかに何らかの困難があると感じた場合、専門家に相談するべきです。
もくじ
「できない」原因を把握する
勉強が極端に苦手な場合、普通のやり方で成績を伸ばせることは難しいです。
仮に対応をしたとしても、平均点以上をとれない可能性も十分あります。
そういう子に対して「やればできる」というのは「やってもできない」「自分は周りより劣っている」と自尊感情を低めてしまうかもしれません。
上でも書きましたが、努力に見合うような点数が取れない場合、なぜできないかを把握してください。
できない原因が「やり方」「やる気」の問題なら、「やり方」を教え、「やる気」を出させればいいだけです。
もし「やり方」「やる気」が問題ではない場合は、できないことをできるようにすることを考えるのではなく「できることを伸ばす」ように考え方を変える必要があります。
中には「学校の勉強」を唯一絶対の評価と考え、「やってもできない」ではなく「とにかくできるようになれ」と、子どもが置かれている状況を考えようともせず「勉強をしろ」と言い続ける人がいるかもしれません(これは虐待に該当する可能性もあります)。
しかし、それでは何も変わりません。
努力に見合うような点数が取れない場合、なぜできないかを把握してください。
私は今までに「勉強が極端に苦手」の可能性のある子を一定数見てきました。
数回の授業でもしかしたらそうかもしれないと思える子、中には1回の授業でその可能性が高いと思えるような子もいましたが、その子たちの親は、できない原因を探そうとせずただ塾に通わせるだけでした。
一度入塾をしてもらうと、塾側から「可能性がある」ということを伝えることはできません。
それに、あくまでも可能性なので、入塾してから1・2か月程度で「できない」と勝手な判断はできません。
「苦手かもしれない」と思えるような部分が見えたら、できるだけその子に合った勉強のやり方を探して、今までよりは絶対に良い点数を取らせようと私自身努力をします。
そうすることで、たとえ極端に勉強ができない可能性のある子でも、成績が伸びる子が多いのですが、限界があります。
定期テストのために覚えたとしても、テストが終わると1週間もしないうちに元通り何もできなくなることさえもあります。
努力をしても限界がある子に、勉強をさせ続けると「自分はできない」と悩み続けることになるかもしれません。
子どもたちのためにも親は気づいてあげてください。
「始めに」からここまで前置きが長くなりましたが、以下、私が経験的に「勉強が極端に苦手な可能性がある」子の特徴をまとめているので参考にしてください。
※ 中にはできないのに無理やり勉強をやらされ「やる気」がなくなっている子もいます。そういう子は「やる気」が原因にみえても実はそうではないので注意する必要があります。
特定の科目だけが苦手な場合もある
英語が得意でも国語ができない。
数学が得意でも英語ができない。
特定の科目はできるけれど、特定の科目ができないということは普通に起こります。
理科・社会がそれなりに点数が取れるからといって「社会ができるなら英語もできる、できないのは努力が足りないから」というようなことを実際に言っている親がいると思います。
暗記の要素が多い社会・理科ある程度取れるのに、英語・数学・国語になるとできなくなるという場合は努力以外の部分に原因があるということを忘れないでください。
もちろん、英語に興味がないのでたくさん勉強をしても覚えられないだけということも考えられますが、「勉強しなさい」は、できない原因をしっかりと把握してから言うようにしてください。
「学習障害」とは断定できない
中学1年の時は努力をしても全く勉強ができなかったのに中学3年になるころには学年上位になっているという子もいます。
1年のときは英単語をどれだけやっても覚えられなかったのに、3年になったら普通に覚えられるようになる子もいます。
「できない」ことが、「学習障害」でない可能性も十分考えられます。
こういうことがあるから、極端に勉強が苦手にもかかわらず「やり方が問題」「やればできる」と期待をしてしまう親がいるのは仕方がありません。
だからこそ、勉強ができていない原因を把握してもらいたいのです。
親は自分の子供しか見ることができないので、他の子と比較して「できない」原因が、単に勉強の仕方、勉強量、やる気の問題なのかそうでないのかの判断は難しいことは分かります。
だからこのサイトの「特徴」を他人事と考えずに真剣にみてもらいたいのです。
極端に勉強が苦手であるにもかかわらず学校の成績にこだわり、工夫も何もせず無理やり勉強をさせることはマイナスにしかなりません。
「勉強が苦手な子の将来」に書きましたが、勉強ができないのであれば、勉強以外のことでできることを探せばいいだけです。
学校の勉強ができなくても就職はできますし、会社に属さない生き方もできます。
これからの世の中、今以上に就職をすることが絶対ではなくなります。
自分が得意な部分を活かすことができれば、勉強しかできない人よりも充実した人生を送ることができるようになるはずです。
もちろん、そこには勉強以外のことで努力をする必要があるのは言うまでもないですが。
見られる動作・しぐさ
以下、勉強が極端に苦手だと思える子に見られる(と私が感じている)しぐさを上げておきます。
ただし、このような動作がみられるからといって「何か問題がある」と決めつけることはしてはいけませんし、このような動作が見られない場合もあります(見られない方が多い)。
- 分からない問題が出てきたら頭をぐしゃぐしゃに掻きむしる
- 自分が分かっていないことを隠すために考えているふりをする(上を向いて目をきょろきょろさせる)
- 数を数えるときに指を使う
- 「あ~」「う~」などと口に出して混乱する
性格にもよりますが、自分が間違えていること・できないことを、勘違いしていたと笑ってごまかす子もいます。
答えをが間違っていることを指摘されてから「こうでしょ?分かっているよ」と自分ができるかのうように周りに思わせようとする子がいます(勉強をさぼっているだけの子がこのようなごまかしをすることも当然ある)。
また、「宿題をしてくるのを忘れたから問題が解けませんでした」という子もいます。
講師の立場からすれば、勉強をしてもできない可能性が高いということが分かっていても本人が「宿題を忘れた」と言ってきたら、「なんでしてこないんだ」と言わざるをえません。
本人がつらい思いをしているのは分かっていても、その親が自分の子供ができないことに気づいてない場合は、「普通にやればできる」ということを前提に接する必要もあるので、指導をしていてもつらいです。
親が子供が努力では難しいということに気づけば、通常の学習塾に通わせることが子供のためにならないと気づけるのに、「なぜ気づいてあげられないのか」と思ってしまいます。
特に、高学歴の親の子が学習になんらかの困難を抱えている場合、それに気づくことは少ないです。
できない子に無理に塾に通わせて、「この塾は合わない」と転々とされます。
そのごまかしが「勉強をさぼっているからなのか」それとも「勉強が極端に苦手なのか」を親や子供に勉強を教えている人は、気づいてあげる必要があると思います。