学習障害等が原因で極端に学校の勉強が苦手な子の親が悩むことの一つは高校・大学への進学だと思います。
ここでは、進学に関連する不安について書いていきます。
なお、中学の時に努力をしても結果が出なかった子でも、「学習障害」でない可能性もあります。
「努力をしても結果が出ない」という事実だけで、勝手に「学習障害」という判断をするべきではありません。
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もくじ
進学はできます
トップレベルの高校・大学は難しいかもしれませんが進学することはできます。
現在、私立高校の大半は名前を書けば合格できてしまいます。
ネット検索で自分の行きたい高校が「偏差値55」と書かれていたとしても、高校側から「この子を入学させたら問題を起こしそう」と思われない限り、偏差値40台の子でも不合格になることはないはずです。
偏差値40台の私立高校になると、入試問題が全く分からず、すべて適当に解答したとしても合格できるはずです。
もう何十年も前ですが、私は入試問題がまったくわからず、すべて適当に解答(全問記号で答えさせる問題だった)しましたが合格できました。
何十年も前もそのような状態だったのに、少子化が進んで生徒獲得に必死になっている私立高校が「勉強ができない」という理由で不合格にすることは考えられないのです。
大学も同様です。
進研模試で偏差値50未満の私立大学の多くは学生獲得が難しい状況にあります。
1人でも多く学生を獲得しようと必死になっています。
いろいろな高校(偏差値40台で勉強が苦手な子が集まっている高校含め)に営業をかけて、指定校推薦枠を設けています。
指定校推薦は高校の定期テストでそれなりにでき、真面目に過ごしていれば、校長から推薦枠をもらえます。
大学を選ばなければ、定期テストの結果がボロボロでも、推薦枠をもらえる可能性は高いです(少なくとも私立高校は通知表を操作しているので内申点が足りないなら操作をする)。
ですので、どれだけ勉強をしても結果を出すことができない状況にあったとしても、高校・大学に進学できないということはありません。
偏差値50以上の高校にも合格できる
偏差値50くらいの公立高校には勉強が極端に苦手な子は普通にいると思います。
実力テストでは全く点数がとれないけれど、定期テストなら平均点が取れるというタイプの子であれば内申点で点数を稼いで合格ができることがありますし、推薦入試で合格できる場合もあるからです。
特定の科目だけが極端に苦手なだけで、科目によっては周りの人よりも優れているという場合であれば、一般入試で普通に合格できます。
倍率が1.1倍程度の高校を受験するのであれば、理科・社会の暗記科目で点数を稼ぐことで合格最低点に達することも十分考えられます。
高校の学科選び
私は、仮に推薦入試で偏差値50以上の公立高校に進学できる可能性があったとしても、普通科に行くべきではないと思います。
普通科は大学に進学することを前提に授業が行われています。
勉強が極端に苦手な子は大学受験のための勉強にはついていけません。
中学時代理科・社会を必死に暗記して偏差値50前半くらい取れていた子でも、英語・数学・国語が努力に見合う結果を出せない状況だと、中堅私立大学に合格するのはかなり難しい可能性があります。
つらいのは、自分が極端に勉強が苦手かどうか気づくことができておらず、必死に勉強を続けてしまっている子がいることです。
中学では努力でなんとかカバーできていた部分が、高校の学習内容になると全く太刀打ちができないということがあります。
これは、中学時代ちょっと勉強しただけで偏差値50台、本気を出せば60台になった子が、高校進学後、授業についていけなくなり落ちこぼれてしまうのとは全く状況が違います。
高校の学習内容についていくことが能力的に厳しい状況にあるのです。
誤解を招く表現になってしまう可能性を恐れずに書きますが、普通科へ進学するのは貴重な時間を無駄にするだけです。
受験勉強ではなく、自分ができることを伸ばせることに力を注ぐべきだと思います。
大学に進学をしたいのであれば普通科以外の学科からでも推薦枠があるでしょうし、就職をしたいのであれば商業・工業・農業・美容などの学科に入ればだれでも就職ができます。
「できることを伸ばしてあげる」
人によって考え方は違いと思いますが、これが極端に勉強が苦手な子にしてあげられる一番のことだと思います。
選ばなければ私立大学は受かる
名前を書けばよほどのことがない限り合格できてしまう私立大学は200以上はあります。
俗にいうFランク(偏差値判定不能)大学です。
Fランクでなくても、進研模試で偏差値50未満の私立大学には、相当数がその可能性がある学生が一般入試で合格しているはずです。
偏差値50未満の私立大学の多くは、入試問題は4択マークシートなので適当にマークしても2割を下回ることが考えられません。
ほんの少しでもできる科目があると、合格最低点に十分達します。
偏差値45未満になると、全員合格とまではいかないにしても、不合格になる方が難しい状況になります。
なお、大学入学後に行われるプレースメントテストの結果などで、極端に勉強が苦手な可能性のある学生に対し、何らかのアクションをしてくれる大学も中にはあります。
トップレベルの私大にも合格できる
「他はそこそこできるが、数学だけはどうしてもできない」というタイプの人がいます。
このような場合であれば早稲田大学にでも十分合格できる可能性はあります。
私立大学は基本的に3教科で受験ができるからです。
数学ができないのであれば「英語・国語・選択科目(多くは社会)」だけで受験ができます。
英語・国語が得意なら数学が全く分からなかったとしても偏差値60を超える大学にでも合格できてしまうのです。
「文系科目が苦手で理系は得意」という場合でも、数学・物理の配点が高い私立理系大学を選べば早稲田に合格することも可能なはずです。
60以上の大学にも「レポートが書けない悩みを抱えている人がいる」と聞くことがあります。
国立大学に合格できるか
国公立大学も推薦入試で合格している子の中には勉強が苦手な子がいる可能性はあります。
また、特定の科目が苦手なタイプであれば一般入試でもで合格できる可能性は十分あります。
国立大学は5教科7科目で受験するのが基本ですが、傾斜配点になっているのが通常です。
科目によって配点が違うのです。
理系であれば、センター・個別試験の比率が1対4で、個別試験は理系の配点が8割というところもあります。
簡単に言うと、理系科目が超得意だったら合格できてしまうのです。
配点を確認して、自分の得意科目を生かせる大学を探せば国立にでも合格できる可能性はでてきます。
ただし、進学後に苦労をする可能性があることもあります。
勉強に何らかの困難を抱えている人が国立(私立もだが)を目指す場合、事前に、進学する大学が発達障害に関心があり、合理的配慮をしっかりとしてくれるかどうか確認しておくことを勧めます。