学習障害は進路はどうなるのか、高校に行けるのか。
成績を伸ばせるのか、塾に通えば大丈夫なのか。
このような心配をされている方がいるはずです。
そのような方たちに向けて以下書いていきます。
もくじ
一人で抱え込まない
初めに確認しておきたいことは、学習障害かどうか専門家に相談しているかどうかです。
もし、その可能性が高いと思っているのであれば専門家に相談をしてください。
すぐに専門家に相談することを否定的に考える人もいると思いますが、学習障害(軽度知的障害)は他の発達障害と異なり、ちょっとしたことで「発達障害かもしれない」と思い込むことは起こりにくいです。
子どものことをしっかりと見てあげている親が、「学習障害かもしれない」と思っている場合、その可能性は高いと思います。
もし学習障害などが原因で学校の勉強に困難を生じているのであれば、専門家に早く相談し、対処の仕方を教えてもらうべきです。
どこに相談していいのか分からないのであれば、スクールカウンセラーや地域の発達障害者支援センターに相談してください。
相談をした後に医者の診断を受けることを勧められれば、診断を受けるべきです。
診断をするのに3ヶ月から半年、もしくはそれ以上待たなければならないこともあるので、その間はスクールカウンセラーなどから支援を受けるようにしてください。
早く適切な対応をすることが悪化を防ぎます。
LDの改善は無理?
現時点(2018年)で、LDには有効な治療薬がありません。
LDは基本的に他の発達障害と併発することが多いと言われていますが、単独で現れることもあります(私個人としては、LD単独の子も相当数いるような気がします)。
LDは症状に応じて工夫をすれば状況を改善できる可能性もあります。
「改善」がどの程度の改善なのか、捉え方が人によって異なるのでもう少し具体的に書いておきます。
ひらがな・カタカナの読み書きが苦手だった子が読めるようになる改善は可能なことが多いはずです。
1・2年までは覚えられるが3年以降は極端にできなくなるといった、漢字が苦手な子が、小学校4年生くらいまでの漢字なら読めるようになったりすることもあるはずです。
個々に合ったやり方をすることで、今まで覚えられなかったことが覚えられるようになることもあるはずです。
多くの方がやってしまうだろう間違いは「繰り返し覚えさせる(書かせる)」ことだと思います。
「何度も繰り返せば覚えられる」という一般的に有効なことを勉強が極端に苦手な子にさせても、できるようにはなりません。
やる気がなくなる(学習性無力感)可能性もあります。
「どうすれば周りの子と同じようにできますか」「どうすれば学年で上位になることができますか」といった、検索も多くされますが、自分の子供の状況をしっかりと把握することが先決です。
繰り返しになりますが、一番初めにやるべきことは、専門家に相談することです。
成績は伸びるか
「成績は伸びるのか」「塾」「高校に進学できるのか」などの言葉が「学習障害の子」と合わせて検索がされます。
これらは、小学生までは「少し勉強が苦手だな」という漠然とした不安しかなかったのに、中学になって定期テストの結果をみて「できない」ということが数字として表れたときに始めて「もしかしたら」と気づいた中学生の親がしているのだと思われます。
できない可能性が高い子に無理やり勉強をさせる親が少なからずいるので、そのようなことがないように、私が思っていることを隠さずに書きます。
以下、書いてある内容は「私が思っていること」でそれが正しいか間違っているかはわかりません。
定期テストでどれだけ勉強をしても平均点に達さないという状況だと、努力に限界があると思います。
そのような子に「改善」できると信じひたすら勉強をさせても、実力テストで偏差値50を取るのも難しいと思います。
勉強ができないという苦しみを子供が感じ続け「自分は何もできない」と不安を抱える可能性があるので、学校の勉強・成績にこだわってはいけないと思います(得意なことを活かす努力が大切になる)。
特定の教科(英語・数学・国語のうち1つ)が苦手であれば、他の教科でカバーすることで5教科総合で偏差値60前後になることは十分考えられます。
ただし、全科目が満遍なくできる必要のある地元のトップ高校に合格することは難しいはずです。
国語が極端にできないが英語もしくは数学のいずれかができるのであれば、中堅私立大学、能力によっては上位私立大学にも合格可能だと思います。
英語+選択科目で文系学科、数学+選択科目で理系学科(英語の配点が少なかったり、英語不要の学科を探す)を受験すればいいのです。
もし、英語・数学の両方ができるのであれば、国語不要の私立大学の理系学科は多いので、能力によっては早稲田も合格できる可能性があります。
一部の科目が極端にできないということが診断で分かったのであれば、できない部分をできるようにするのではなく(小学4年までに習う内容は努力で可能ならばどうにかして身につける必要はあると思う)、できるところを伸ばしたほうがいいと思います。
塾に通わせれば伸びるか
「勉強をしてもできない子でも塾に通わせれば伸びますか?」「学習障害が通える塾はありますか」と悩んでいる方も多いみたいです。
「できない」がどういう状況なのか分からないので何とも言えませんが、学習障害でも子供に合った学び方をすれば少しずつできるようになります。
ただ、上でも書いているように、個人差があります。
どれだけ勉強をしても10点・20点だった子が、適切な対応の仕方を知らない至る所に溢れているフランチャイズ個別指導塾に通わせれば、成績が伸びるどころか、悪化する可能性も考えられます。
学習障害について何も知らない指導者は「勉強しろ」「繰り返せ」という指示しか出せないからです。
繰り返し勉強をしてもできないからどうにかしたいのに、同じことを親だけでなく他人からも言われたら子供はどう思うでしょうか。
塾に通わせるのであれば、発達障害に理解のある塾しかありません。
中には怪しい塾もあります。すぐに飛びつくのではなく慎重に探してください。
HPの見栄えが良いというだけで選ばないようにしてください。
通信教材を使えば成績が伸びるか
「成績が伸びる」がどのくらい伸びることを期待しているしているのかが分からないので何とも言えません。
もし、10点・20点の子が80点を取れるようになることを期待しているのであれば難しいと思います。
成績が伸びることを期待させるような口コミ・評判がいくつかのサイトで見られますが、それらは信用しない方がいいかもしれません。
テストで一桁は学習障害?
分かりません。
分かりませんが、私の経験を書いておきます。
私は中学時代全く勉強をしなかったので、定期テストで50点以上取ることはほとんどありませんでしたが、定期テストで一桁を取ることはありませんでした。
多くは20点~40点台でした。
しかし、地元の公立高校向けの実力テストでは1桁をよくとっていました(60点満点で)。
全く勉強をしていないので、中学3年の時に中学1年のbe動詞すらわからないので(本当に何もわからない状態)、適当に記号を付けていました。
記憶は定かではありませんが、中3の2学期以降に受けた実力テストでは4点・6点とかだったはずです。
国語に関しては、とりあえず文章は読みますが言葉を知らないので、何が書いているのか分かっているようでわからないような感じだった記憶が残っています。
点数も10点前後だったはずです。
数学は簡単な計算問題はできましたが、文章題・関数・証明は全く手を付けられませんでした。もちろん点数は1桁です。
そんなわたしでも、今は中学生に英語・数学・国語・理科・社会の指導をしています。
つまり、私が一桁の点数を取っていたのは単なる勉強不足だっただけです。
一桁を取ったからといって、点数だけでは学習障害かどうかは分からないのです(もし私が、今現在、中学生だったら、学習障害だと判断されていた可能性は高いでしょう)。
点数では判断できないのです。
もし、本気で努力をしているのに成績が伸びず私のような点数をとっているのであれば、可能性を考えるべきですが、それでも素人には学習障害かどうかは分かりません。
専門家への相談が必要です。
難関私立中学で成績が伸びない
「能力差」か「やる気」のいずれかが成績が伸びない原因だと思いますが、英語でできない場合は少しだけ注意してみてあげる必要があります。
ディスレクシアの可能性がゼロではないからです。
もちろん、勝手な判断はできません。
難関私立中学の英語のスピードはあまりにも早いので、アルファベットに慣れる前にどんどん先に進むので「全く単語が覚えられない」と悩む子が確実にでてきます。
ハイレベルな次元で「できない・覚えられない」と悩んでいる子に公立中学の問題を解いてもらうと偏差値60を超えるはずです。
「できない、できない」と悩んでいる中学3年生に英検3級の問題を解いてもらうと余裕で合格点を取るはずです。
「できない」の次元が違うだけで、それを学習障害か何かだと考えるのは少し違います。