自分の子が勉強ができないのは「やり方」を間違えているだけ。
そのように思い「努力をしてもどうにもならない」可能性があることを考えない(考えようとしない)親もいます。
塾でいろいろな子を指導していると「努力不足」では説明できない子が現実にいることに気づきます(気づかないわけがない)。
勝手な判断はできないので、できる限りできるように説明をしたり、勉強の仕方を教え続けますが「この子を教え続けるのはかわいそうだ」と思うことも正直なところあります。
塾に通ってくれている子に「勉強をしなくてもいい」とは言えないので、「頑張れ」と励ますこともあります。
「この子は定期テストなら何とかとれるが実力テストになると点を取るのは難しい」と思っていても(暗記はできるが設問の意味を理解することができない子は定期テストは取れるが実力テストで点が取れない)、「頑張れ」という言葉以外に選択肢がありません。
何度か授業をすることで、中には体験授業を1回しただけでも成績を伸ばすのはかなり難しいだろうと思えるのに、なぜ親が子供の状況になんで気づいてあげようとしないのかと不満に思うこともあります。
そこで、勉強をしているのに成績が伸びない子の親に子供のことをもっと見てもらいたいと思い、普通であれば塾経営者が触れることのない「学習障害」「境界知能」について、触れさせてもらうことにしました。
もくじ
勉強が苦手な子の割合
「文部科学省」が公表している数字によると通常学級に4.5%が「学習面で著しい困難を示す」子がいるとされています。
つまり20人に1人は、それが先天的ものなのか環境的なものなのかは分からないにしろ、先生から見て「勉強が極端に苦手」と思える子がいるのです。
また、ウェクスラー式知能検査の統計をみると、15%~20%くらいは勉強が苦手な子がいる可能性を推定できます。
15%~20%のうち2~3%は重度(おそらく通常学級には在籍していない)なので、あくまでも私の勝手な推定ですが、通常の学級に通っている10人に1人は勉強に何らかの困難を抱えている可能性も考えられるのです。
不安を駆り立てるつもりで書いているわけではありませんが、「『勉強が苦手』は他人事ではないかもしれない」ということを、親は知っておく必要があると思います。
学校の授業についていくことができない場合「学習障害」「知的ボーダー」の可能性も考えられます。
外見からは分からない
「学習障害」「知的ボーダー」の人は外見からは分からない場合が多いです。
小学校の低学年で勉強ができない状況が分かれば、多くの親が「勉強が極端に苦手かも」と気づくはずです。
しかし、小学3~6年から周りとの差がで始めると「勉強をしていないから」と結論付けてしまうかもしれません。
中学受験を考えている親を除けば、「宿題さえしていればとりあえずいい」と考えている方が多いはずなので、それが「勉強不足」が「勉強ができない原因」と思ってしまう要因の1つになっている、と私は思っています。
加えて「勉強が極端に苦手でも暗記はできる」という子も相当数いるので、小学校のテストはそれなりに点数が取れてしまうこともあります(80点以上を取れることも普通にあります)。
また、一言に「学習障害」「知的ボーダー」と言っても、得意不得意な部分があります。
にもかかわらず、「勉強ができない」イコール「すべてにおいて何もできない」と勘違いしている方が、いまだに多くいるはずです。
数学は人並みにできる(場合によっては人並み以上にできる)のに国語・英語になると全くできないということもあります。
「すべてにおいて何もできない」と思っている親は、「数学ができるなら勉強が極端に苦手なわけがない、他の科目もできて当然」と考えます。
こういったことも「勉強が極端に苦手」ということ気づかなくさせる要因になっているはずです。
中には「いやいや、学習障害というものは部分的にできないということは知っている」「それを知ったうえで、うちの子はやり方に問題があるだけで、できないわけではない」と主張する親もいるのですから(そう思いたいだけかもしれないが)、発達障害の表面的なことだけ(名前だけ)を知っていても「勉強が極端に苦手」ということを判断するのことが難しいということを物語っています。
一応、勉強ができない子に見られる特徴について以下に書いています。
ただし、私は発達障害に詳しい小児科医・臨床心理士・精神保健福祉士などではないので書いてある内容を鵜呑みするのではなく、参考程度にとどめておいてください。
見分け方・チェックリスト
「見分け方」「チェックリスト」という検索がされることが多いです。
しかし、そのような検索をしても、複数のサイトをサーフィンして時間だけが過ぎ、ある部分は納得できたけれど、結局どうなの?どうすればいいの?と不安が解消されることはないはずです。
また、複数のサイトを閲覧していると、自分の都合の良い部分だけが目に留まり悪徳商法のカモにされる可能性も考えられます。
「教育」「子供のため」と聞こえが良い言葉を出しておけば、「こんないい人がいるんだ」「こんなにすごい会社があるんだ」とプラスのイメージが植え付けられます。
ビジネスにすることは間違いではありませんし、そうすることが良い面もあると思います。
しかし「子どものため」「学習障害の子ができるようになるため」「発達障害児のため」「グレーゾーンの子のため」というようなことを言えば正義で正しいわけではありませんし、必ずしも信用できる分けではありません。
「教育」という言葉を使って、巧みに悪いことしている人もいます(このサイトも無条件に信用してはいけません)。
週1回の個別指導で月に1万円~2万円くらいをちゃんとした組織がビジネスとして行っていればある程度信用できると思いますが、入会・登録するだけで10万円以上必要になったり、年間50万円以上を要求するようなところはやめたほうがいいと思います。
また、学習障害(発達障害)を短期間で改善するなど謳っているところは怪しいです。
学習障害は工夫をすることでできるようになる部分はありますし、継続して努力をすることである程度はできるようになりますが(限界はある)、すぐに何かが変わるようなものではないからです。
本気で発達障害のことを考えて活動をしている人もいれば、お金のために「発達障害」を利用している人もいるということは知っておいてください。
子どもが一人で悩んでいる
自分の子供が学習障害の可能性があることに気づいていない(気づかないふりをしている)場合、子供が一人で悩んでいるということもあります。
「勉強をどれだけしても覚えられない」
「覚えようとしても頭の中がグルグルする」
「勉強ができないことで不安」
「自分でもなぜできないのか分からない」
「助けて」
そのように思っている子がいるはずです。
1対1で話をするときに、泣き出してしまう子も今まで何人か見てきました。
勉強ができないと一人で悩んでいる子に向かって「もっと勉強をしなさい」と口だけで親が言うのは子どもをさらに追い込むだけです。
勉強ができないと思うのであれば、何がどのようにできないのかしっかりと見てあげてください。
親がしっかりの勉強を見ていれば、勉強をさぼっているからできないのか、努力ではどうにもならないのか、気づけるはずです(もちろん、勝手な決めつけはダメです。専門家への相談が必要です)。
そして、勉強以外の道もあるということも考えるべきだと思います(思い込みでできないと思って勉強をさせないのはダメです。専門家に相談してください)。
というより、勉強なんかできなくても自分の強みを生かして生きていく方が自分らしく生きていけます。
勉強は自分の選択肢を広げるための一つの道具であることは間違いありませんが、それがすべてではありません。
勝手な判断はできない
学校の先生のようにきょいうくに携わっている人や「医者」の資格を持っているだけで適当な診断をする人もいると言われているのですから、ましてや専門家でない素人に「勉強が苦手な原因」を突き止めるのは不可能だと思います。
努力により改善できるものなのか、それとも改善は難しいのか(認知機能に関連するものは努力では変えにくい)、専門家に相談する必要があります。
しかし、「発達障害」という言葉がここまで広がっているのに、何を信じればいいのか、何を頼ればいいのか、どうすればいいのか、いったい何が起こっているのか、対応の仕方を全く知らない人もいます。
医者はピンキリなので専門医を探すのは難しいかもしれませんが、学校(信頼できる担任・スクールカウンセラーなど)に相談ができること、地域にある「発達障害者支援センター」ことすら知らない人も中にはいます。
なお、病院を探すというのであれば「日本小児神経学会」のHPを参考にするといいかもしれません。
発達障害診療医師名簿もあるので、参考になるはずです。
少なくとも知識がないのに適当なことをいう医者がその名簿にあることはないはずです。
専門家でない人がネット検索で解決することなどできないのだから、その可能性が高いと思ったらできるだけ専門家に頼ることを勧めます。