【中学面白いほどわかる本】社会・理科は公立高校入試対策に一番お勧め

2016年4月に面白いほどわかる本シリーズの歴史と地理が発売されました。

それまで中学生向けの参考書にはなかった、本格的な「講義形式(語りかけ形式)」の参考書です。

2018年8月までに順次科目が追加され、2019年9月現在、国語を除く4教科+実技が出版されています。

アマゾンのリンクを貼っておきますが、必ず中身を見てから購入してください。

多くの参考書が用語の羅列だけで「なぜそうなの?」ということが書かれておらず、単純暗記しかできません。

このシリーズは講義形式になっており、多くの人が抱くであろう疑問に丁寧に答えてくれています。

無駄に難しい部分は極力排除されており、公立高校入試に必要十分な知識が得られるような内容になっています。

「もう少しここは知りたいな~」という個所なくはないのですが、それを差し引いてもかなりお勧めできる参考書です。

公立対策に特にお勧めできるのは「地理」「歴史」「公民」「理科」です。

ただし、「本を読んで自分で理解をする」ということが苦手な子は数ページ開いただけで「どこがいいのか分からない」と思うはずです。

用語の単純暗記を勉強だと思い込み、それに慣れてしまっている子もなかなかしっくりこないと思います。

なお、講義形式の解説書なので問題演習はほとんどできないと思ってください。

演習は他の参考書を使う必要があります。

社会

地理はテーマごとにイントロダクションがあります。

「日本の交通」では

  • 鉄道:とくに日本初の新幹線は超頻出!
  • 高速道路:交通と産業は密接に関係する。産業にも注目しよう!
  • 国内輸送の割合:国内輸送の状況と問題点&対策をチェックしよう。

歴史は章の冒頭にその章で何を学ぶかについての導入、その後に「フローチャート」が提示されています。

「江戸時代」のフローチャートには

江戸初期:家康・家光の時代
徳川家康が征夷大将軍になり、江戸幕府を開く
徳川家光のときに参勤交代が始まり、鎖国を開始

江戸中期:三大改革の時代
徳川吉宗が享保の改革をおこなう
松平定信が寛政の改革をおこなう
水野忠邦が天保の改革をおこなう

江戸後期:幕府の滅亡
井伊直弼が日米修好通商条約を結ぶ
徳川慶喜が大政奉還をおこなう

公民は章の冒頭にその章で何を学ぶかについて注意を引き付ける導入があります。

その後に「この章のポイント」でキーワードとエッセンスが提示されます。

「現代の民主政治」では

Keyword

  1. 民主っ柚木
  2. 間接民主制(議会制民主主義)
  3. 選挙
  4. 小選挙区比例代表並立制
  5. 政党政治

理解を深めるエッセンス

日本の民主主義の政治は、間接民主制によって、選挙で選ばれた代表者によって進められているが、選挙には棄権の増加や一票の格差という課題がある。

「地理」「歴史」「公民」すべてが、公立高校入試レベルの内容に合わせ分かりやすい解説をしています。

この参考書が出版されて以降、いくつかの新しい社会の参考書が出ていて、中にはそこそこに使えるものもありますが、個人的には社会の参考書で一番お勧めできます。

ただし「一問一答」は使えません。

基本内容の暗記がしっかりとできているかどうかをささっと確認したい人だけが利用すればいいと思います。

理科

1冊で必要最低限の学習内容を学べます。

社会が3冊で理科は1冊しかないことから「えっこれだけで大丈夫なの」と思う人もいると思います。

しかし、公立高校入試に必要最低限の内容は網羅されているので問題ありません。

「絶対に満点近い点数を取らなければならない」という完璧主義の考え方の人には合わないかもしれませんが、「8割くらい取れれば十分」という考えの人には十分な内容です。

必要十分のな内容に絞ってくれているので、無駄な部分まで勉強をしなくて済みます。

無駄なところまで必死になって勉強をし、勉強時間の割には成績が伸びないということも防いでくれるはずです。

意味も分からず用語だけを暗記しなくてはならない、他の多くの参考書を利用するよりもこの参考書を使うべきだと思います。

ただ、地学分野の「日周運動・年周運動」「太陽系・月や金星の見え方」、物理分野の「光の進み方」「凸レンズ」はその分野に苦手意識を持っている子には読んでも分からないと思います。

これらは参考書で解説するには限界があるので、塾に通うか映像授業を利用するしか方法はないかもしれません。

映像授業は内容・料金を考えると「スタディサプリ」以外の選択はないと思います。

数学

勉強習慣がある子が、学校の授業の予習・復習に使うのには適していると思います(数学は予習をする科目ではないので予習に使うことはお勧めしませんが)。

勉強習慣がなかったり、数学が苦手な子はこの参考書は使いこなすことはできません。

なお、分かりやすいことは間違いありませんが、数学という科目の性質上これを使ったところで公立対策にはなりません。

独学で公立対策をする人は別の問題集を使うべきです。

また、数学が本当に苦手な子は独学で勉強はできないので、どうしても数学の成績を伸ばしたい場合は個別指導の塾に通う必要があると思います。

英語

1年の目次は

  1. This is ~.の文
  2. be動詞のam / are / is
  3. 一般動詞①文の作り方と答え方
  4. 名詞・形容詞・副詞
  5. 複数形の文
  6. 一般動詞②:3単現の-s
  7. 5W1H疑問文
  8. 代名詞とwhoseの疑問文
  9. it(「天気」「時間」「曜日」)の表現
  10. 現在進行形
  11. 一般動詞の過去形
  12. 命令文
  13. 助動詞can

で構成

2年の目次は

  1. 品詞の役割(名詞・形容詞・副詞・前置詞)
  2. be動詞の過去形・過去進行形
  3. 一般動詞の過去形
  4. 「未来」の文
  5. 助動詞
  6. 代名詞とthere構文
  7. 不定詞と動名詞
  8. 文型
  9. 命令文と感嘆文
  10. 受け身の文
  11. 現在完了
  12. 接続詞
  13. 比較

で構成されています。

中学3年生は1・2年の簡単な復習から入り、公立高校入試に必要十分な解説がされています。

レベルは標準的なものなので難関私立を目指す子には物足りませんが、難関校を受けるのに英語が極端に苦手(地元の実力テストで偏差値60未満)という子が、理詰めで基本を押さえるためにであるならお勧めできます。

参考書の「はじめに」にはこの本を勧められる「対象者」として

  1. 学校の授業内容+αの内容を「深く」理解したい中1生・中2生
  2. じっくりと腰を据えて勉強し、定期テストで高得点を取りたい中1生・中2生
  3. 入試対策の「基礎固め」をこれから始めようとしている中3生

を挙げています(中学1・2年版)。

これからなんとなくわかると思いますが、学校の内容が全く分からない子に向けたものではないということです。

学校の授業は簡単で定期テストでは普通に平均点は取れるがそれだけでは物足りないという子が使う参考書です。

3年の内容は公立入試対策のためというよりも、1・2年生が3年の内容を先取りして学ぶためのものだと私は思います。

また、中学3年生がこれを使って公立対策をするのはやめたほうがいいです。

時間が十分にあるなら使ってもいいかもしれませんが、高校入試の英文法のためだけに3冊も勉強するのは非効率です。

公立高校のために英文法を学びたいのであれば「中学3年間の英語が1冊でしっかりわかる本」のほうがお勧めです。