読書記録 vol.4
タイトル | 【誰にも見つからずに泣いてる君は優しい】 |
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作者 | 原田ちあき |
発行日 | 2018年4月5日 |
出版社 | 大和書房 |
もくじ
心にドスンと刺さる
ジュンク堂書店により2023年1月10日から2月9日実施の
「10代の私にすすめたい本」フェア
でフェア選定委員によって選ばれた50冊の中の一つにあったで読んで見たのですが
一言一言が
ササる刺さる
も~
共感の嵐
特に
人間関係に面倒くささを感じつつも周りを気にして自分が思うことを自由にできていない
女子中高生(多分今の時代は小学生にも)には
一言一言がズサズサ心に刺さるはずです。
ああ神さま!意地悪なあの子にバチが当たりますようにと毎晩願ってしまう私にバチが当たりませんように
あの子の前ではその子の悪口をいったりその子の前ではあの子の悪口をいったり女の子って大変ね!
私の幸せも私の不幸も決めるのは君じゃないでしょ
誰かの否定をしていないと不安で死んじゃう病気なんだね
君が私を好きじゃないなら私が君を好きでいる理由なんてないじゃん
一人はこわい
こういったメッセージがいっぱいの本です。
白黒の暗い絵→カラフル
この本の表紙を見ればわかる通り
カラフル
なので
もともとこういう感じの絵を好んで描いていたのかと思いきや
著者は色を塗るのが苦手だったらしいです。
なぜ今のような作風になったかの経緯が面白い
ネタバレになるのでここでは書きませんが(多分SNSで公表しているはずなので別に書いてもいいのかもしれませんが)
復讐劇が本当に面白い。
将来の夢
「なりたいもの」について書かれたエッセイ部分に
「将来何になりたい」と問われるのが苦手で
だって何になりたいかなんてわからないし。周りの皆は先生とかパティシエとかネイリストとか迷いなく答えていて、何か自分だけおいて行かれた感じ。
小学生の頃将来なりたい職業について何を書けばいいかわからないからふざけて「○○」(知りたい人は本を読んでください)と書いた。
とあったのですが
共感をもってそこまで読み進めた人がその個所を見たら間違いなく笑います(小学校何年生の時に書いたのかは書かれていませんでしたが、先生に怒られたと書いてあったので6年生くらいの時に書いたのだと思いますが)。
それを小学生で書いちゃうか( ´艸`)
気持ちわかるよ
と。
それにしても
他の子たちの将来の夢が
先生・パティシエ・ネイリスト
という部分
学校と家という狭い社会経験しかない子が知ることができる職業は限られているので
その狭い世界で職業を決めてしまうことの危険さを感じてしまいました。
「やりたいことなんかない!!」
と思っている子のほうが健全で
少なくとも日本に住んでいるのなら高校になるまでは自分の職業を若いうちに決めてしまうのは自分の可能性を狭めてしまうことにつながるので
とりあえず広く浅く学んでおいた方がいいかなということ。
著者は「絵」という才能を活かすことが出来たので
自分の黒歴史を上手にさらし結果的に自分がやりたいことができるようになったからいいけど
始めから「絵」を描いて生活したい
なんて思っていたら、全く違う状況になっていたんじゃないかと思います。
働くことに関して
自分が何者かわからない
何をしたいかが分からない
と悩んでいる10代は間違いなく読む価値ありです。
生きているのがつらい
自分が置かれているを不幸だ
周りに仲間がいなくすべてが敵だ
ものすごく嫌な経験をして辛い
そういう状況にいる人にもこのエッセイ・作品集はお勧めです。
著者は22歳の頃辛い思いをし
死んだら死んだでそいつらの生きるくだらん世界で酒の肴になって、数年したら忘れられてしまうんだろうなァ
と思って死ぬことがあほらしくなったと書いています。
また
私も君も、失敗したり死にたいと思った過去で形成されている。
なんてことも書いています。
程度に差はあるにしても誰にでも辛い経験は訪れる、「そんなものは乗り越えちゃおう」というメッセージが突き刺さります。
特に
小中学生は大人と比べ逃げ場がないこともあります。
学校で嫌なことがあった
もう本当に行きたくない
何もかも滅茶苦茶になっちゃえばいいのに
思春期には誰でも一度はそういったことを思うはずです。
そんな思いをしている小中高校生は立ち読みでもいいから是非この本を手にしてください。
ちなみに
少なくとも今の日本の学校制度は万人が素晴らしいと思えるような制度ではありません。
学校に通っても辛い思いをするだけ、どうしても学校に行きたくない辛い思いをし続けるなら行かないという選択をするのはありだと思います。
確かに、
辛い状況から逃げては弱い人間になる
とか
それを絶えることで強い人間になれる
という精神論を持ち出す人もいるでしょう。
また、それを絶えることでその後の人生に役立ったなんてことが実際にあるかもしれません。
しかし、そうでないかもしれません。
今の状況が苦痛でしかない
このまま学校に通い続けていたらどうにかなってしまう
と
1か月以上思い込むようなら
学校に行くのをいったん中止してもいいと思います。
昔は学校を休むことは
逃げ
という人も多くいましたが(と記憶している)
逃げとは思えません。
本当につらいのならそれを信頼できる大人に話してみましょう。